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第12回コラム
「発売日」
J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう!5
ディレクター 馬場 保仁

今日は、「Jリーグプロサッカークラブをつくろう!5」の発売日です。
今回は、書籍の紹介はおいておき、今作を開発する上で苦労した点をお話します。

一番は、今回のゲームデザインの方針をどうするか?というものでした。「サカつく」では、10年来、「人事」「育成」「経営」の3つの柱かクラブを運営して最強クラブを目指す、というアプローチを主眼においたゲームになっていました。

たしかに、実際のサッカークラブの運営も近い感じではあると思います。(もちろんもっともっとやることがあると思いますが)ただ、それを1人の人間ですべてをまかなっているわけではありませんし(到底無理でしょう)、役割分担というものは明確にされていると思います。そこで、大勢の登場人物が意味をもって登場することになるわけですが、細分化しすぎてもやることがわかりにくい形で多くなり面倒くさくなってしまうだけですし、ある程度、ゲームだからこそできるデフォルメをいれていかないと、非常にとっつきの悪いものになってしまうと思います。

たとえば、ホームタウンとして数多くの市町村を準備していますが、実際はやはり人口が多くて交通インフラの発達している都市が、比較的容易に観客を動員できるでしょう。
しかし、現実世界のように、そのあたりの数字をダイレクトに反映させてしまうと、せっかく用意しているたくさんの市町村が活きてきません。全員ではないとは思いますが、あれだけの数の市町村が用意されていれば、自分の出身地や居住した経験があるところなど、ゆかりのあるところをチョイスされるのではないでしょうか? で、「好み」で選んだはずの自分のクラブのホームタウンとしては、経営基盤が脆弱で運営が厳しいとなっては、感情移入がしづらくなってしまいます。ですので、後半は皆さんの努力が、最終的に反映されるのでいいのですが(笑)、序盤は少なくとも致命的な差にならないように配慮する必要があるわけです。

また、「わかりやすさ」という観点からも、リアルに経営部分をおうだけがベストではないとも考えます。例えば、今作においては秘書に役割を持たせて、ナビゲイターといいますか、案内役も兼ねる形をとらせ、マーケティング、プロモーションにでかける、という役目を与えています。ですが彼女たちの間で能力差はありませんので、外見など好みで選んでくださればいいでしょう。ここで能力差があると「自分の好みは、こちらの秘書なんだけど、○○ができないとなると…」と、好みでない人を選ばねばならなくなるのは、厳しいでしょうから。また、今作では、思い切って、秘書にブログを書かせてみようということになりました。もちろん、マメに更新されるものですので、バリエーションを数多く用意せねばなりません。
楽しく読んでください(笑)。

実際のクラブ運営で、秘書の方がブログを書かれることは将来ひょっとしたらおきうるかもしれませんが、マーケティングやプロモーションを任されて飛び歩くということはあまり考えにくいでしょう。なぜならば、アウトソースするか、それごとに専門の人物をたてると思われるからです。ですが、実際にここでキャラを分けてコマンド毎に違う人物を用意するとなると、皆さんが覚えなくてはいけない人物が多くなってしまい煩雑になります。もちろん、そこで、「それしかさせない(orそれを中心におこなう)」というゲームデザインをすることで、シンプルにすることも可能です。つまり、プレイされる皆さんは、自分の手足となって動いてくれるスタッフを選ぶだけ。後は彼らの裁量と思考で勝つためのクラブ作りを判断して、たま〜に口をだす、というものなどです。ですが、この方向でのシンプル化をはかることで今までの「サカつく」にあった面白さを、落としてしまう部分が多いようであれば、採用すべきではないと考え、今回は従来型のスタイルの「サカつく」でいくことにしました。

そのぶん、逆に複数いたスカウトも「強化部長」という新キャラクターに一本化して、「監督」と「自分」の三者による会議形式をとることで、対話感あるシチュエーションを提供できれば、と思いました。操作的には、非常にシンプルで、自クラブの現状をよく把握できない、もしくは、サッカーにあまり詳しくない、という方であれば、監督と強化部長の提示してくる案のどちらかを採用して、GOさせればいいだけでしょうし、より詳しくこだわりの強化方針をうちだしたい方は、チョイス後、自分で更に詳しく、設定をすればよいでしょう。
また、両者の機嫌をうかがい、決定的な指示、名前入力で最終的には好みの選手を獲得にいく、というのも楽しいと思います。
(もちろん、その時のクラブの状況などでは、リストアップされないこともありますけれど)

そして、今回、誇って話すことではありませんが、ハードディスクがなくても、かなり快適に遊んでいただけるのではないかと思います。皆さんが、ご自分でなされた行為の結果がすぐにでないというのが、つくろうシリーズの現在のデザインですし、今作でもそこは踏襲しております。つまり、「まわしてナンボ?」的なところが重要になるわけです。と、なると、

ロードの高速化
結果を見る 試合モードの実装

は、必須ということになります。もちろん、ハードディスクにインストールしていただいた方が、更に速くはなりますが、あまりストレスを感じることなくプレイしていただけるのではないかと思います。

まずは、手にとってプレイしていただけますことを願っております。
よろしくお願いいたします。

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