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【スカパー!サカつく部 サカつくDivision1】 第3節森脇豊一郎氏

『J.LEAGUETM プロサッカークラブをつくろう!7 EURO PLUS(以下、サカつく7)』の開発プロデューサー山田理一郎と、日本サッカー界を支えるスペシャルゲストと特別トーク。『サカつく7』の魅力はもちろん、開発秘話やサッカー論を本音で語る!
テレビでは放送しきれなかった内容をノーカットで掲載!第3節は、攻撃サッカーとゴールパフォーマンスで、ファンのハートをがっちりつかんだサンフレッチェ広島を影で支える森脇豊一郎さんです。

プロフィール

山田 理一郎
「J.LEAGUETM プロサッカークラブをつくろう!7 EURO PLUS」プロデューサー
1999年セガ入社。企画として「ハンドレッドソード」「パンツァードラグーンオルタ」「プロサッカークラブをつくろう!ヨーロッパチャンピオンシップ」「フットボールクライマックス」などに携わり、2009年発売の「J.LEAGUETM プロサッカークラブをつくろう!6 Pride of J」ではプロデューサー兼ディレクターを務める。
日々野 真理
スカパーのJリーグ中継ではピッチリポーター、Jリーグハイライト番組「Jリーグアフターゲームショー」ではアシスタントを務めるフリーアナウンサー。三重県出身。
森脇 豊一郎
1973年、山口県岩国市生まれ。大阪体育大学大学院卒業後、1999年より日系社会青年ボランティアに参加し、ブラジル・サンパウロ州の日本語学校で2年間体育教師を務める。帰国後、2002年1月に(株)サンフレッチェ広島に入社。現在は企画・広報部長として、集客イベントの企画および広報活動を一手に担う多忙な毎日を送っている。

目次

「企画」「広報」両方の役割を果たす

日々野真理(以下、日々野):本日は、よろしくお願いいたします。

山田理一郎(以下、山田):ここで重大発表をさせていただきます。私、サンフレッチェ広島の大ファン、ぶっちゃけて言えばサポーターでございます(笑)。

日々野:これまでずっと内緒にしてきましたね。

山田:ひた隠しにしてきました(笑)。だけどサンフレッチェ広島の関係者の方を前にして、隠していても仕方ないので。チームエンブレムを、一時期ケータイの待ち受け画像にしていたんですよ。奥さんから「なんで子供の写真じゃないの!」と怒られました(笑)。今日は、そんなわけで大変ワクワクしております。

日々野:一方、森脇さんも大の「サカつく」ファンでいらっしゃるとか。

森脇豊一郎(以下、森脇):実は僕もカミングアウトになるんですが、大好きですね。このお話をいただいて、非常にうれしかったです。

日々野:両思いということで(笑)。森脇さんはどのくらい「サカつく」をプレイされてきたんですか?

森脇:1996年に「サカつく」の初回作が出たと思うんですが、プレイしたいためだけにセガサターンを買いました。その後はドリームキャスト版が出たので、また買って。その後PC版を経て、今回のPSP版。全部やっていますよ。

山田:「サカつく」をやりたいがために、ゲーム機を買っていただく。ありがたいことです。出費の面ではあまりよろしくないですが(笑)。

日々野:今日は、お二人からいろいろな話が聞けると期待しています。まず森脇さんのお仕事についてお伺いします。企画・広報部長ということですが、どういった仕事内容になるのでしょう?

森脇:そうですね、企画広報部だけじゃなくプロサッカークラブのフロントにはいろんな業務がありますが、基本的には「1人でも多くの方にスタジアムに来てもらう」ことに尽きると思います。そのためにいろんなプロモーションをし、イベントを用意して告知に活用したり、子供さんに来ていただいたり。

山田:企画広報部には「企画」「広報」両方とも入っていますが、両方の役割を果たされているんですね。

森脇:例えば今は夏休みですから、企画としてお子さんに来ていただきやすいイベントを用意し、広報としてそれを周知します。だから、一緒にやるほうが効率が良いんですね。

日々野:イベントは「サカつく」でも大事なポイントですが、今まで行なった集客に繋がるアイデアではどんなことが印象に残ってらっしゃいますか?

森脇:「ゲーフラを作ろう!」というイベントです。ゲートフラッグ用の布と棒を用意し、ご両親とお子さんが気軽に応援フラッグを作って選手入場時に掲げようという企画です。今や1回で600人以上に参加していただける、定番のイベントになりました。

日々野:そんなに大勢が!参加される方の中には、これまでゲーフラを作ったことのない方もおられたわけですよね。

森脇:はい、かなりおられました。

山田:B6(広島ビッグアーチのゴール裏に相当する場所)に来られる人たち以外も、ゲーフラを作るわけですよね。

森脇:「ゲーフラ」と聞いてもピンと来ない人がまだまだいらっしゃいますし、材料を準備するのも手間暇が掛かります。だからこちらで紫の布と棒、水性ペンを用意して、お父さんお母さんお子さんが一緒になってオリジナルのゲーフラを作ることで、家族同士の触れ合いができるようにしました。

手作りの楽しさもありますし、選手入場時に自分だけのフラッグを掲げる楽しさもあります。それが一体感に繋がり、スタジアムも紫に染まる。皆が喜ぶ企画になったと思います。

山田:選手も、見るだけでテンションが高まりますよね。僕も作りたいです(笑)。今のお話を伺って、次の「サカつく」にはプロモーションとしてぜひ入れたいと思いました。

森脇:おお、ぜひお願いします、ありがとうございます。

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皆がハッピーになる仕組みが大事!

日々野:実際にプレイされる中で、気になったイベントはありますか?

森脇:いろんなイベントがありますが、印象に残っているのはチラシ配布ですね。

山田:ベーシックですね。地味ながら、大事なことです。

日々野:実際にチラシを配られるときは、どのようにされてますか?

森脇:チームによってはサポーターさんに呼びかけることもあるでしょうが、広島は職員だけでやっています。スタッフを集めて時間と場所を決め、チラシを配ったり、試合告知のポケットティッシュを作ったり。

「おはようございます、サンフレッチェ広島です!」と笑顔で挨拶して、配布物を受け取っていただけるだけでも嬉しいですね。どのチームでもそうだと思うんですが、プロサッカークラブが地元にあり、名前が浸透していることを実感します。

一般的に配布物というのは、私自身もそうですがあまり受け取らないですよね。でも笑顔で挨拶して差し出せば、ほとんど取っていただける。また、あとで確認しますが、道端にゴミとして捨てられていないんですよ。嬉しいですね。

日々野:イベントについては、スポンサーのデオデオさんといろんな企画を打っていらっしゃいます。ポイントはどのあたりでしょうか?

森脇:サンフレッチェ広島のメインスポンサーは、家電量販店のエディオングループです。デオデオさんの店頭でスカパーに加入していただくにはどうすればいいか、また加入した方がビッグアーチに来ていただくにはどうすればいいか。スカパーさん、デオデオさん、サンフレッチェ広島の3社で加入促進企画を日頃から取り組んでいます。

日々野:皆がハッピーになる仕組みを考えておられるのですね。

森脇:皆がWIN-WINになるのが、一番良いことだと思いますので。試合会場では、両社の協力を得て恐竜を連れてきたり。

日々野:恐竜……ですか?

森脇:かなり大きな、4~5メートルある恐竜です。これをスタジアムの広場に連れてきてもらって、イベントをやったり。あとは、スカパーさんで3D中継が始まりましたが、体験した方はまだそれほど多くないと思います。そこで黒いテントを張って、大画面で3D映像を視聴体験するイベントをやったり。

日々野:企画を立てるとき、会社の中ではどういう流れで決定するのでしょう?

森脇:担当者レベルで「こういうことやったら面白いよね」という会話から「やろう、やろう」となることが多いですね。自然発生的というか。話し合いが煮詰まった段階で、企画書に落し込みます。

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選手のトークイベント、まさかの不入り

日々野:皆さんのアイデアが形になって、企画になるんですね。いろんな成功例がある中で、恐らくですが失敗もあると思います。言える範囲内で、教えていただければ幸いです。

森脇:地元の大学生とタイアップ企画を打つことがあります。学生主体の集客につなげる企画です。過去何度もやっているのですが、その中で1つあった失敗が、2度目のJ2降格を経験した2007年のことです。

入れ替え戦が視野に入るほど状況が苦しい時、学生側から提案を受けて選手のトークイベントをやることになりました。今だから言えることですが、戸田和幸選手(現ザスパ草津)を呼びたいということで。彼に打診したら、意気に感じてくれて「行きます!」と言ってくれた。

しかしフタを開けてみると、告知が十分じゃなかった。僕がもう少しチェック・指導ができていれば良かったと思うのですが、なんと5人しかいなかったのです。さすがに、凍りつきました。

日々野:「まさか!」ですね。戸田選手の反応はどうだったのでしょうか?

森脇:最終的にはもう少し人数は増えましたが、しっかり最後までやってくれました。イベントが終わって帰る前にも、「森脇さん、こういう企画があったらまた呼んでください」と言ってくれて。

山田:戸田選手らしいコメントですね。

日々野:なんて素敵な人なんでしょう。普通だったら「もう少し集客できなかったのか」とか文句を言ってもおかしくないですよね。

森脇:ただただ、頭を下げるしかなかったですね(苦笑)。

日々野:学生さんはまだ告知の要点を知らないでしょうし。そこから、密な関係を作られたんですね。

森脇:ゲームでもそうだと思いますが、ゼロから物事をやると、過程では想定しなかったことがたくさん起こります。それに対応していかないといけません。こういう失敗は二度とできないなと思いました。

山田:「サカつく」に取り入れるためには、失敗の原因も把握しておく必要がありますね(笑)。

日々野:企画広報というお仕事の中で、一番大事と思われることはどんなことですか?

森脇:企画広報というよりもフロント全員が共有しているのは「選手を最高のピッチに送り出すこと」です。言葉を変えれば、「チームカラーである紫に染まったスタジアムをいかに作り出すか」ですね。

選手が入場するときに奮い立つような瞬間を作り出せば、それが選手のパワーになると思います。私どもフロントは、実際にプレーするわけではありません。試合に勝つか負けるかはコントロールできません。しかし選手が最高のパフォーマンスを出せる環境を整えるのが仕事だと思いますので、そこに注力しています。

あとは、やはり1人でも多くの方にスタジアムへ来ていただくこと。1度来てもらったお客様に、満足して帰っていただくこと。それが一番ですね。

日々野:お仕事の根底には、そういう考えがあるんですね。ということで、ここまでは森脇さんのお仕事について伺ってきました。

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衝撃を受けた久保竜彦選手の存在

日々野:今回発売されました「サカつく7」ですが、森脇さんはもう予約されたとか。

森脇:もちろん、デオデオで予約させていただいています(注:インタビューは2011年8月1日に収録)。財布の中に、ちゃんと予約引換券が入っていますよ。

山田:大変ありがたいことです、ぜひ予約特典をゲットしてください。

森脇:ちなみに奥さんにはまだ内緒にしています。

日々野:「また買ったの!」って(笑)。

山田:PSPなのでコッソリとプレイできますよ。実は、ここが大きなポイントです。「なぜPSPで出したんですか」とゲーム雑誌でも聞かれるんですが、「サカつく」のメインユーザーはもうすぐ結婚されるような年齢層の方が多いんです。

そうすると、あまり居間で大っぴらにゲームをやるわけにはいかない。スカパーでサッカーを見ているだけでも、文句言われたりするわけですから(笑)。

日々野:ご家庭でも、そういうことがあるんでしょうか。

森脇:僕は奥さんにも、子供にも言われますね(笑)。「お父さん、また!?」って。

山田:だから、コッソリできることは非常に大きいんですよ。予約特典では久保竜彦選手(現ツエーゲン金沢)、相馬直樹選手(現川崎フロンターレ監督)、シジマール選手(現柏レイソルGKコーチ)などが「サカつく」未所属選手の中にリストアップされています。

日々野:やっぱり、久保選手を獲得したいですか?

森脇:したいですねえ。ミスター・サンフレッチェであり、クラブのレジェンドの1人ですから。まだ現役でプレーしている選手ですけどね。

山田:僕がサンフレッチェ広島を好きになったきっかけも、久保選手でした。まだスカパーが全試合生中継していない頃で、何の試合だったかわからないのですがとにかく荒々しくて、「こんなFWが日本にいるのか!」と衝撃を受けました。

それから、情報をかき集めましたよ。当時はまだJ’s GOALもなかったと思いますし、ネット環境も発達していませんでした。だからオフィシャルで発行しているメールマガジンに加入したり、オフィシャルマガジンを取り寄せたり。そういうところから久保の情報を仕入れていました。それから勉強して、今やバリバリのサンフレッチェ広島サポーターです(笑)。

森脇:いやいや、ありがたいことです。

山田:2008年に久保選手がチームに復帰したことはすごく嬉しかったですよ。しかも、背番号39番(笑)。

森脇:2回目のJ2、確か湘南戦だったと思いますが、アウトサイドで左45度の角度からものすごいゴールを決めました。鳥肌が立ちましたね。

山田:あれはちょうどB6から入る角度が見えたと思うんですが、あの場にいたかったですね。スタジアムで見て、お金を取れる選手です。

日々野:「サカつく」でも久保選手は人気のようですね。

山田:もちろんです。あの、ここはハッキリさせたいんですが「サカつく」は僕がパラメータを付けているわけではないんですよ。

日々野:そこは大事ですね。

山田:僕の入社が1999年で、「サカつく」は当時から久保選手は日本人選手の中で一番能力が高いんです。普通に考えたら代表選手の能力が高いはずなんですが、当時Jリーグをチェックしていると一番すごい選手は久保選手だった。もちろん今回も、久保選手は強力なFWです。

日々野:ここまででおわかりのとおり、山田さんのサンフレッチェ広島サポーター度はかなりのものですね。

森脇:いや、本当に嬉しいですね。

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選手の自主性が生み出したゴールパフォーマンス

日々野:最近、サンフレッチェ広島のスタジアムには多くの人が詰めかけています。その様子をご覧になっていかがですか。

山田:感慨深いですね。広島ビッグアーチだけでなく、関東のスタジアムに足を運ぶと、サポーターが徐々に増えていて。今はアウエーのスタジアムに行っても、ビジター側のチケットを取れないことがあります。

森脇:ホームだけでなく、関東のアウエーゲームではビジターのスタンドが埋まるぐらい、紫の率が増えていっています。見ていて嬉しいです。

日々野:紫のものを着用する率が高まっているんですね。

森脇:広島ビッグアーチでも同じことが言えます。レプリカユニフォームや紫のものを身につける率が年々高まっていて、選手の力になっているのは間違いないと思います。

日々野:皆さんの企画や努力があるのはもちろんですが、選手もかなり協力していますね。

森脇:スカパーをご覧の方々はよくご存知だと思いますが(笑)、試合後のサンフレッチェ劇場やゴールパフォーマンスですね。選手自身が「せっかく来てくれたサポーターに喜んでもらうには」と、自分たちで考えてやり始めたんです。この件に関して、クラブから「こうしてくれ」と要望したことは一度もありません。あくまで、選手の自主性を尊重しています。非常にありがたいと思っています。

山田:素晴らしいことだと思います。パフォーマンスって、嫌がる人もいますよね。不真面目に捉えられたり。だけど、選手が自分たちで考えてやっていることに価値があると思うんです。もう移籍してしまいましたが、槙野智章選手(現1FCケルン/ドイツ)がテレビに露出していたときは、地上波でサンフレッチェ広島の映像が出てきました。そういうところに繋げられるというのは、すごいことですよね。

日々野:朝のスポーツニュースでも、「今回のパフォーマンスについて」という取り上げ方をされていましたね。

山田:もちろん、マスメディアに取り上げられることが全てではないと思います。また、サッカー選手の価値はピッチで見せるプレーにあることが前提です。しかし、まだJリーグはブンデスリーガみたいに常にスタジアムが満員という状況ではありません。サッカーに関わる皆が工夫して、アイデアを出しあっていくことが大切なのかなと思います。

日々野:ゴール裏での選手たちの挨拶を見ていると、掛け合いにもポイントがあるようですね。

森脇:「サンフレ劇場」では選手たちが自主的にサポーターの方々に対してパフォーマンスを行なっているのですが、2008年にJ2でプレーした際は、チームスローガンである「ALL FOR J1」を締めの言葉として使ってくれました。もちろん、選手にお願いはしていません。

選手が「広島?」と言うと、サポーターが「最高!」と返す。「サンフレッチェ?」と言うと、「最高!」と返す。そして「ALL FOR」に対して、「J1!」。これを何度も繰り返してくれたんです。皆が指を突きあげて、一つになる。選手とサポーターの心理的な距離が近くなり、一体感が生まれていました。すごく嬉しかったですね。

山田:クラブのカルチャーって、こういう風にして作られていくんでしょうね。広島の選手は、明るいキャラクターを持つ選手が多いと思います。この間も、広島ユースの選手たちがイタリアで行なわれた大会の表彰式で「YMCA」を踊っている動画がインターネット上にアップされていたり(笑)。

日々野:こういう性格は、広島の県民性なのでしょうか?

森脇:いえ、広島の県民性は必ずしも人前に出てはっちゃける感じではないと思います。

日々野:たまたま、明るい選手が集まったと(笑)。だんだん伝染していますよね。

山田:ポジティブなことですから、受け継がれていくんでしょうね。森﨑浩司選手も、この間の試合後インタビューで「どうでした、僕のシュートは!」と言っていましたね。すごく高いテンションで(笑)。

日々野:もともと、あんな感じの性格の選手ではないですよね。

森脇:あの時は弾けてましたね(笑)。「1位になるぞ!」と言って。

山田:良いことですよね。ぜひ伝統として受け継いでいってほしいです。

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4000枚のパネルを1枚ずつ袋詰め

日々野:さて、森脇さんに企画・広報部長になって一番良かったことと一番辛かったことを挙げていただきました。それが、こちらです。
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さっそく見ていきたいと思いますが、一番良かったことは「コレオグラフィ」ということで。

森脇:コレオグラフィ(人文字)は、つい先日のホームゲーム(7月30日、対清水エスパルス戦)でもやりました。バックスタンド4000人の方々に、チームスローガンの「2011奪取」という人文字を作ってもらう企画です。今年で5年目になるのですが、これをやった試合は全勝なんです。今年も勝ったので、5年連続で結果が出ています(笑)。

企画の趣旨は幾つかあります。まず、バックスタンドに人がいないと成り立たないわけですから、1人でも多くの人に来場いただくこと。次に、これをやるための呼びかけを在広島各局のアナウンサーさんにご協力いただいて、夕方のニュースの時間に「明日は私も行きますから、皆さんビッグアーチに行きましょう!」と言っていただくこと。

さらに試合当日、私も含めてアナウンサーさんにハンドマイクを持っていただいて、案内の呼び掛けをして一緒に作り上げる。集客増につなげ、参加型の喜びを味わっていただき、入場時に選手を奮い立たせることです。もちろん一番の要因は選手の頑張りですが、企画をやることで試合を勝利に導くことができた。一番わかりやすい例として挙げさせていただきました。

山田:ここ数試合公式戦で勝てない中、この企画を打ってバシッと勝った。いや、素晴らしかったです。

日々野:この企画の準備で難しいのは、どのような点ですか?

森脇:掲げるパネルを準備することです。広島ビッグアーチはバックスタンドに屋根がないので、雨が降ったらアウトなんです。またベンチが長椅子なので、パネルを一つ一つシートに置いていき、風で飛ばされないようメンディングテープで1つ1つ4000席分を貼ります。また、本番までに雨が降ったらアウトなので、1枚1枚をビニール袋に入れて、それを置いていくんです。

日々野:ビニール袋に詰めることだけでも大変ですよね。

森脇:試合の前々日に、朝礼で「お手すきの方は13時から準備するんでよろしくお願いします」と伝えておいて、クラブ役員から総出でビニール袋にせっせと詰めるんです。

日々野:手作業に手作業を積み重ねて、あの瞬間が生まれるんですね。実際に観たときは最高の気分じゃないでしょうか?

森脇:実際に掲げているとき、僕はアナウンサーさんと一緒にハンドマイクを持って「掲げてください!」と呼びかけています。「(試合前の)記念撮影が終わるまで掲げてください」「もう少しで終わるので、よろしくお願いします!」とか。でも、選手入場から記念撮影まで意外と時間が掛かるんですよ。お客さんも、掲げている腕がプルプルしてきて(笑)。

日々野:そうですよね、大変ですよね(笑)。

森脇:「申し訳ありません、もう少しで終わります!」とか。そういうご協力をいただいた上で、初めて完成します。僕はいつ見るかというと、試合が終わって家に帰った後、ビデオでチェックします。「ああ、良かったな」と。

日々野:しかも勝ち試合ですからね。

森脇:選手の試合後インタビューでも「あれを見て、本当にたくさんのお客さんが来てくれて良かった。サンフレッチェ広島の楽しいサッカーを見せられて良かった」と言ってくれました。

山田:コレオグラフィですごく良いと思うのは、スタジアムの劇場感が高まることですね。初めて行った人も、「この空間は特別なんだ」ということがすごくわかる。去年のナビスコカップ決勝には家族を連れて行ったのですが、バックスタンドに結構初見の方が来てたんですよ。あのコレオグラフィがパッと見えた瞬間に、「すごいね、こんなことやってるんだ」というのが伝わりますし、「また来てみたい」と思わせるものがあります。

日々野:2年前の鹿島アントラーズ戦の効果は大きかったのでしょうか?

森脇:大きかったですね。2009年8月、前年のチャンピオンであり、当時17試合無敗のチームが鹿島アントラーズでした。その日にコレオグラフィをやることを決め、スローガンである「WE FIGHT TOGETHER」という人文字を5000人で作りました。

その時も勝利しました。試合終了の笛がなった瞬間、広島ビッグアーチはまるで優勝したような湧き方でしたね。ああいう経験をスタジアムにいる人全員が経験すると、「また来たいな」と感じていただけるのかなと思います。

山田:良い試合でしたね。お互いミスが少なくガシガシやりあっている中で、サンフレッチェ広島が攻め手の多さで競り勝った印象です。青山敏弘選手のスルーパスから、佐藤寿人選手が決勝点を決めたんですよ。

日々野:ハッキリ覚えてますね(笑)。

山田:当時の鹿島アントラーズの無敗記録は、カシマスタジアムでのサンフレッチェ広島戦から始まっていたと思います。当時「サカつく6」を作っていて、若手を連れてカシマのゴール裏に見に行ったんです。アウエー側からホーム側を見ると、ものすごい量のフラッグが出ていて。威圧感というか、アウエー感があった。結果はぎりぎり1-2で敗れたんですが、内容的には完敗でした。「ホームでやり返さなければ」と思ったのを覚えています。

日々野:そういう思いがたくさんつまったコレオグラフィだったんですね。

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「お通夜のような」敗戦帰りのバスツアー

日々野:続いて一番つらかったことはこちらです。
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「バスツアー」ですか。楽しそうですけど?

森脇:2003年、サンフレッチェ広島がJ2を初めて戦った年で、私が入社して2年目のことでした。それまでアウエーの試合に出すバスツアーは年2回ぐらいしかやっていなかったのですが、「何とかチームを盛り上げたい」とバスツアーをどんどん企画して、告知から当日の添乗まで全部自分でやりました。広島から新潟まで、片道12時間かけて行きましたよ。

山田:12時間もかかるんですね!

森脇:水戸にも行きました。こちらは13時間かかるんですよ。途中、高速道路で渋滞するところがあって、事前に調べたスーパー銭湯に寄って皆さんに汗を落としていただいて、またバスに戻っていただいたり。

日々野:本当に手作りのツアーなんですね。ただ、大変そうですがある意味では楽しそうです。「一番つらい」とされる何かがあったんでしょうか?

森脇:夏場だったと思うのですが、アルビレックス新潟とサンフレッチェ広島が昇格を競っていたときにアウエーで福岡戦がありました。バスの時間では片道4時間なんですが、この試合に負けると首位新潟との差が大きく広がってしまう。絶対に落とせない、大事な試合だったんです。しかし、負けてしまった。帰りの車内はさながらお通夜で、その帰りの4時間がものすごくつらかったです。

日々野:どう声を掛けたものか、わかりませんよね。

森脇:声も掛けられませんし、僕が謝るのも何か違いますし。何とも言いようがなかったんですよ。

山田:1当時は、J1昇格枠が2枠しかなかったんですよね。僕も胃が痛い毎日でした。ただ、僕もそういう辛い思いを経験しています。

日々野:そうなんですか?

山田:2000年ぐらいから応援していますが、当時は関東で全く勝てませんでした。当時は開発会社のスマイルビットが浦和レッズのスポンサーをやっていたので広島戦は必ず見に行っていたんですが、必ず負けるわけです(苦笑)。

ついこの間まで、浦和レッズがJ2に降格した試合以来広島は勝てなかったんですよね。試合内容は悪くなくて、先制した試合もあったんですが、田中マルクス闘莉王選手にやられたりして。浦和レッズのものすごい数のサポーターが狂喜している中、とぼとぼ帰っていくわけです。

ゴール裏にいる人たちは、まだ感情を共有できるからいいんですよ。バックスタンドで見ると、先制しても喜べないんです(笑)。最近はそういうことが減ってきて、非常に嬉しいですね。

日々野:ということで、森脇さんに聞いた「企画・広報部長になって一番良かったこと、一番つらかったこと」でした。

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夢は、山口への恩返し

日々野:最後に、森脇さんの今後の夢・目標を教えてください。

森脇:やはりホームスタジアムである広島ビッグアーチを満員にすることが、僕の夢ですね。その先に、個人的な夢があります。Jリーグができたのは1993年で、僕が大学3年生の頃でした。その頃から「将来はプロサッカークラブの経営をしたい」と思い始めて、今に至っています。

私は山口県岩国市の出身なので、「いつかは生まれ育った山口に恩返しをしたい」と思っています。いつになるかはわかりませんが、将来Jリーグを目指すような、地域に根ざしたスポーツクラブを作りたいと思っています。

日々野:まさに「プロサッカークラブをつくろう!」ですね。

山田:作る際には、ぜひお声がけをいただきたいです。チーム名は「サカつく」にちなんで、「アヴァンツァーレ岩国」などでいかがでしょう(笑)。ゲームの中で架空のクラブを作る際の、伝統的な名前があるんです。

森脇:僕がいつもプレイするときは、「岩国FC」などでやっています(笑)。

日々野:山田さん、森脇さんにお話を伺っていかがでしたか。

山田:そうですね、「サカつく6」からはJリーグのクラブを使えるようになったので、なるべく実際にやっていることに近づけて企画をやろうとしています。ゲートフラッグは一つのポイントですね。あのゲーフラがたくさん掲げられるのは、Jリーグらしさの一つです。それを踏まえて、企画を立てたいなと思います。

日々野:森脇さんは、「サカつく7」を楽しんでください。

森脇:予約してますので、久保竜彦を獲得したいですね(笑)。

日々野:ということで今回のゲストは、サンフレッチェ広島企画・広報部長の森脇豊一郎さんでした。ありがとうございました!

次回は実力社会のJリーグで4チームを渡り歩く熱血漢。強化部長も経験し、クラブ経営の酸いも甘いも噛み分ける。だけど、メールに絵文字を多用するなど茶目っ気もたっぷり。人間的な魅力あふれる川勝さんの、選手操縦法とは?

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