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 【スカパー!サカつく部  サカつくDivision1】 第1節 竹鼻快氏

『J.LEAGUETM プロサッカークラブをつくろう!7 EURO PLUS(以下、サカつく7)』の開発プロデューサー山田理一郎と、日本サッカー界を支えるスペシャルゲストと特別トーク。『サカつく7』の魅力はもちろん、開発秘話やサッカー論を本音で語る!
テレビでは放送しきれなかった内容をノーカットで掲載!第1節は、ガイナーレ鳥取GM竹鼻快さんです。

プロフィール

山田 理一郎
「J.LEAGUETM プロサッカークラブをつくろう!7 EURO PLUS」プロデューサー
1999年セガ入社。企画として「ハンドレッドソード」「パンツァードラグーンオルタ」「プロサッカークラブをつくろう!ヨーロッパチャンピオンシップ」「フットボールクライマックス」などに携わり、2009年発売の「J.LEAGUETM プロサッカークラブをつくろう!6 Pride of J」ではプロデューサー兼ディレクターを務める。
日々野 真理
スカパーのJリーグ中継ではピッチリポーター、Jリーグハイライト番組「Jリーグアフターゲームショー」ではアシスタントを務めるフリーアナウンサー。三重県出身。
竹鼻 快
1976年10月17日、宮城県仙台市生まれ。仙台第二高等学校-立教大学法学部卒。湘南ベルマーレを経て、2007年4月よりJリーグ史上最年少のGMとしてガイナーレ鳥取へ移籍、現在に至る。「強小」(強くて小さい)をキーワードに着実なチーム強化を進め、2011年11月、同チームをJ2昇格へ導く。

目次

竹鼻さんのお仕事は、まさに「サカつく」!

日々野真理(以下、日々野):はじめまして、よろしくお願いいたします。

竹鼻快(以下、竹鼻):よろしくお願いします。

日々野:いきなりですが、竹鼻さんはJリーグのGMとしては最も若い34歳でいらっしゃいます。

山田理一郎(以下、山田):私と同世代ですね。一つ下でGMですよ、すごいです。

竹鼻:たまたまですよ。

日々野:GMの会合などでは、一番年下なのですか?

竹鼻:Jリーグの会議などでは、どこへ行ってもだいたい下の方です。

日々野:チームには年上の選手もいるのですか?

竹鼻:ウチだと服部年宏選手と、岡野雅行選手ですね。

日々野:年上の選手がいるGMということで、いろいろ苦労もありそうですね。GMと一口に言ってもいろいろなお仕事があり、イメージのわかない方も多いと思います。竹鼻さんは、どういったお仕事をされているのでしょう?

竹鼻:一般的なGMの仕事は、チームを統括する強化部長という立場です。選手を補強したり、チームを統括するタイプですね。私の場合は営業・広報・運営など、いろいろなセクションを見るタイプです。チームはもちろん、その他のマーケティングなどお客さんを呼ぶ部署も統括しています。

日々野:幅広いですね。

山田:まさに「サカつく」のGMという感じですね。サッカークラブに関わることすべてを担当されるわけですから。ユーザーは、まさに竹鼻さんとなってプレイするわけですね。

竹鼻:すごいゲームですね(笑)。

山田:クラブを大きくしなきゃいけないし、現場も見なきゃいけない。大変な立場ですね。そういう方が実際おられるということで、皆さん竹鼻さんを目指してプレイしてください(笑)。

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トラックを運転するGM

日々野:他に「こんなこともやっている」ということはありますか?

竹鼻:サッカースクールに顔を出したり、トップチームの練習ではボール拾いだけでなく時々GK練習を手伝ったり。ウチもだいぶ大きくなってきて、そういう仕事は減っては来ましたが。看板や用具を運ぶために、トラックを運転したこともあります。

日々野:GM自ら。どのぐらいの距離を運転されたのですか?

竹鼻:JFLの頃は鳥取と米子の両方でやらせてもらっていたのですが、その距離をずっとですね。ブレーキを踏むと「プシュッ!」と鳴るやつです(笑)。鳥取に行ってトラックの運転がうまくなりましたよ。いざこの仕事で食えなくなったら、そちらでもイケるかなと(笑)。

山田:次からはゲームにも入れなきゃいけませんね、「トラックの運転がうまい」と(笑)。そうすると、チームの運営費がちょっと下がる。序盤に役立つ地味スキルです。

竹鼻:僕だけじゃなく、クラブの皆がいろいろやっていますね。クラブを運営する人数が十分でなければ、掛け持ちの仕事はどうしても増えます。良いことか悪いことかはわかりませんが、その状態が長く続きました。今はだいぶ整理されてきましたけども。

日々野:スクールでは、生徒を教えることも担当されているのでしょうか?

竹鼻:現在は、幼児から小学校1年生を担当しています。めちゃくちゃにされてますけどね。一昨日も教えてきましたが今その疲労が来ています(笑)。

日々野:どんな感じで教えているのですか?

竹鼻:幼児に関しては、「集合したときにおしゃべりをしない」とか基本的な部分からですね。

山田:話なんか聞いてないですからね(笑)。

竹鼻:ただ、この間まで靴ひもを結べなかった子が結べるようになったり、成長の過程を見るのはうれしいです。「大人の男になったな!」と伝えておきました(笑)。

日々野:そういうことも担当されているんですね。

竹鼻:そのセクション専門が1人しかいないので、皆でやっています。

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ゼネラリストとして鳥取へ

山田:ユーザーの中には、GMというある種「リアルサカつく」をやってみたいと思っている方も大勢いると思います。竹鼻さんは、どういった経緯でGMになられたのですか?

竹鼻:強化担当のGMには選手上がり、という方が多いと思います。私の場合、以前ベルマーレでお世話になっていた頃は「湘南ベルマーレ」に切り替わる頃でした。人もすごく減って、今と同じように何でもやらなきゃいけませんでした。

普通なら営業で入れば営業を長く、運営なら運営を、という流れだと思います。私の場合は昼間は営業をやり、夕方はスクール、夜はママさんフットサル教室など、いろんなところで関われました。

日々野:1日の中でいろんな役割をこなしておられたのですね。そこから、どういう経緯で鳥取に入られたのですか?

竹鼻:ウチの社長である塚野が、「いずれ鳥取もJリーグを目指す」という目標を持っていて。湘南も親会社のないチームだったので勉強を兼ねて、ユースのコーチとして出向で来ていました。そこで初めて出会って、お話をいただいて、お受けさせていただきました。

日々野:湘南の方から、強硬な引き止めがありませんでしたか?

竹鼻:そうですね、もっと止めてくれると思ったのですが(笑)。何を持って円満というかわかりませんが、円満退社でしたね。

日々野:GM就任する決め手は何だったのでしょう?

竹鼻:当時は「スペシャリティを追求したい」という思いがありました。営業だったり試合運営だったり、はたまたコーチだったり。人間は24時間しかないので、何かに絞れば「もっとできるのでは」と。

一方で、今までやってきたとおり「ゼネラリストとしてやっていくのがいいのかもしれない」とも思っていました。そのタイミングでオファーをいただいたのです。「鳥取をJリーグに」という目標のもと、ゼネラリストとして仕事をする。そういうお誘いだったので、今までやってきたことを活かそうと思って決意しました。

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人口が少ない鳥取の「長所」とは?

山田:鳥取県は人口が少なく、「サカつく」的には不利な条件がそろっています。基本的には人口が多く、ライバルがいないところが有利です。そういうところで観客を集めるのは、ご苦労もあるのではないでしょうか?

竹鼻:モチベーションになったのは、「日本で一番人口の少ない県」ということでした。僕は100万人都市の仙台出身で、ベガルタ仙台は毎試合1万人強の入場者がある。1%前後の人が見に来ている計算です。政令指定都市か企業城下町、というのが成功モデルとしてありましたので、「人口の少ない地でやるのは難しいだろう」と思いました。ただ、何についてもそうですが、長所と短所がそれぞれある。人口が少ないことで有利になる点もたくさんありました。

山田:具体的にはどういうところでしょう?

竹鼻:エンターテインメントという部分で、ライバルがいない状況でした。そうするとJFLでもメディアバリューがあり、ニュースで報道されたり、民放テレビで生中継されたり。メディアに取り上げられると、人口が少ないので伝播しやすく、密度が濃くなりやすい傾向があります。

山田:地域コミュニティから繋がっていきやすいということなんですね。

日々野:お客さんのクチコミも大きな武器なのですね。

竹鼻:「行ってみたけど面白かった」「隣の誰々さんも行った」というクチコミが効きますね。都会とは別の戦略が出てくると思います。

日々野:選手を獲得することもGMのお仕事のポイントになるかと思いますが、どういったご苦労がありましたか?

竹鼻:最初は、知り合いの選手しか来てくれませんでした。ウチはベルマーレの選手が多いのは、そういう絡みです。Jリーグ昇格をモチベーションにしてもらえると思いますが、最初はそれこそ鳥取の場所を説明するところから始めたり。

山田:「サカつく」的にも、選手獲得の際に大事なことが幾つかあります。直接交渉する場合は、そのクラブとの友好度を持っていないと門前払いされてしまいます。そこをクリアした後は、選手をどう口説くか。「サカつく」には代理人がいないので、選手に直接金額を提示して「お金がないので、誠意で」と口説かなければいけない。

自チームの状況と相手の状態を見て、何が正解かを探します。例えば、若くて出番が少ない選手には「ウチに来ればレギュラーが取れる」とか。あるいは代表選手のいるクラブなら、「もっとステップアップできますよ」とか。来シーズンにACL(アジアチャンピオンズリーグ)に出られる状況なら、「ACLに出てみないか」とか。

ゲーム中のガイナーレ鳥取の場合、地域愛を語ることが有効です。ある程度ベテラン選手に関しては、「一緒にこのクラブを大きくしないか」という口説き文句だったりが効いたりしますね。

日々野:こうしたことは、現実でも起こっていることのでしょうか?

竹鼻:そうですね、「クラブを大きくしたい」というのは伝えています。サラリーでは良い話ができないので。ウチのテーマは「強小」(強くて小さい)です。独自の年号として「強小元年」「強小弐年」「強小参年」と変わらないコンセプトとしています。そういうコンセプトを理解して来てもらうことが、メインになってくるかなと。

日々野:服部年宏選手は、どういうふうに口説かれたのでしょう?

竹鼻:2年連続で5位になったことで経験不足を痛感し、「ベテランが必要だ」と考えました。コーチの中村有が東京ヴェルディでやっていて、「すごく力になると思うよ」という話を聞いていました。服部さんにも、クラブを作っていくことに魅力を感じてもらって。鳥取にも縁のある方でしたし、そういった要素が重なりました。また、ウチは30オーバーの選手が多いんですよ。

山田:確かに、そうですね。

竹鼻:サラリーの面で折り合わなかったり、景況悪化のため経費カットや若返りにシフトするクラブが多く、ベテランを取る流れがあまりありません。ウチは他と同じようなバランスの良い年齢構成を目指しても、現実としてなかなか選手が取れない。

一方、年齢を考えなければやれる選手は十分います。服部さんや岡野さんは代表的な例ですが吉野智行、小針清允、喜多靖、梅田直哉などは僕と同じぐらいの年齢です。

日々野:これからJリーグで何年かやる中で、交渉の仕方も変わってくるんでしょうね。

竹鼻:クラブがどこを目指すかにもよりますね。10年後を目指すなら若い選手になるでしょうが、契約システムが変わって移籍が活発化しました。現在は、必ずしもトップチームでの育成に重きを置けない状況にあります。

山田:こちらから仕掛けていかねばならないということですね。

竹鼻:難しい状況ではありますけれども。ヨーロッパは歴史が長いので、育成型クラブとして毎年10位ぐらいでも良い選手を輩出し、選手を売却して経営を成り立たせるモデルがあります。また、週末に試合があることが文化として定着しています。日本では、全チームがそういう状況にはありません。育成型クラブにシフトを切ろうとしても、お客さんが来るかは別ですから。

山田:結果を出すことが最重要という状況なのでしょうね。

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大事なのは「第一印象」!

竹鼻:去年はホームで無敗、ブッチギリで優勝できました。お客さんにしてみれば、観に行くと負けない状況です。勝利を観たり、たくさん点が入れば面白いですよね。そういう興行としての面も考えないといけません。

日々野:興行という面で、苦労された部分はありますか?

竹鼻:コツコツと頑張ってきたクラブなので、なかなか集客は難しいところがありました。

日々野:プロモーションもかなり「サカつく」ではポイントになっています。

山田:観戦人口という、大元のデータで表に出ていないものはあります。そこから試合の人気、注目度みたいなものから集客を予想し、特定の試合に来てくれる人を増やし、観客の満足度を上げる施策を打つことができます。無料招待券を出す、選手のサイン会を開く、選手の一日店長をやるなど。ユーザーは、どのタイミングでその施策を打つかを選べます。例えばダービーマッチなら効果が高いので、「この試合はダービーマッチとして売り出しましょう」とか。

竹鼻さんは実際に、ある施策を打ったことでお客さんがドカンと増えたとか、リピーターが増え始めたと感じたことはありますか?

竹鼻:一つの企画で大勢の人が呼べたとなれば良いと思いますが、なかなかそうはいかないですね。商売なので、コツコツやっていくしかありません。一つあるのは、「勝ったらお客さんが来るだろう」という考え方はしないことですね。

ウチには、とりぎんバードスタジアムという素晴らしいサッカー専用競技場があります。そこでイベントを打ったり、選手紹介にしても誰もが知るプロの方を呼んだり、カテゴリーに関係なく、どのクラブもピッチ外でもステップアップするための施策を考える必要があります。

プロ野球はすごいですよね。スタジアムグルメが充実していたり、配布する印刷物の表紙がカッコよかったり。受け入れ態勢をしっかり作ることを一番気にしています。

山田:満足度を高めるための施策ですね。

竹鼻:やはり、初めて来た人に「こんなものか」と思われるのは避けたいんです。一回目というのは最大のビジネスチャンスですから。

日々野:「楽しかった」と思えば次につながりますよね。

竹鼻:女性も男性に対しては、第一印象が大事ですよね(笑)?来てもらったときに「ああ、面白いな」と思っていただくのが一番です。

山田:スタジアムがサッカー専用であることは、一つ大きなポイントだと思います。

竹鼻:本当にそうです。まだJリーグ云々がなかったときに、苦労して作られた方々がおられます。僕が鳥取に来た理由において、スタジアムの存在は大きかったです。「スタジアム作りから」となると、よそ者にどうこうできるレベルではありません。

山田:距離感や臨場感が違いますよね。僕はとりぎんバードスタジアムへ実際に行ったことはありませんが、初めてサッカーを観た人は「選手との距離が近い」と思われたのでは?

竹鼻:距離が近いし、生の楽しさが感じてもらえると思います。

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積み重ねが歴史を作る

日々野:客層は、どういう年齢構成になるのでしょう?

竹鼻:やはりJリーグに共通する傾向としてファミリー層が多いですし、今はお年寄りがすごく増えています。

日々野:お孫さんと一緒に来られる環境があるのですね。

竹鼻:お婆ちゃん同士で来られる方もいます。

日々野:そうなると、イベントの種類も考えないといけませんね。

竹鼻:鳥取は、人の動く単位が大きいんですよ。都会だと動く単位が少ないですしお金もかかりますが、こちらはご両親祖父母と一緒に子供さんが付いてきたり。ともすると、隣の家の方も。鳥取には、そういうコミュニティがあります。

山田:ファミリーが持っている力は強いですよね。長い目で観たとき、その効果が出てくると思います。「サカつく」で使うマーケティングデータと、JリーグHPで出ている観戦者データを見比べるとかなりの部分で一致するんです。「サカつく」好きは、Jリーグが盛り上がった時にファンになった層です。

あとは、僕の世代の子供が大きくなったときに一緒にスタジアムに通ってきたとか、ファン層の歴史が積み重なることが大事なのかなと思います。

竹鼻:年齢層によっては、集客が難しい部分ありますね。この間、集客を見込んで格安チケットを大学生協に置いてもらったんですが、まったく売れませんでした。しかし、彼らにしてみれば5,000円をどう使うかという中で、半分を使ってサッカー観戦するのは厳しいのかなと。今来ている観戦者層を徹底的に掘り起こしたほうがいいのかな、と思います。

山田:特効薬はありませんよね。積み重ねが大事です。野球だって、歴史が違いますから。例えば「送りバント」という地味な技術だって、皆さん名前を聞けば何となくイメージは伝わる。それがカルチャーの良さですよね。

竹鼻:僕が子供の頃は、皆野球帽をかぶっていました。仙台には野球チームがなかったですが、祖父が阪神好きで。阪神の帽子をかぶっていると、やっぱりチームが気になるんですよ。だから、優勝したときは嬉しかったです。子供の頃に連れられてガイナーレ鳥取の試合に足を運んだことが、同じような思い出になると良いなと思っています。

あとは、故郷への愛ですね。仙台は今大変な状況ですが、外にいると自分の生まれ育った地域の名が付いたチームは気になります。ベガルタ仙台もそうですし、東北楽天ゴールデンイーグルスもそう。まだ子供たちが大きくなるサイクルで一回りしていない状況だと思うので、これからですね。

日々野:ということで、ここまでは竹鼻さんにGMのお仕事について伺って参りました。

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HONDA FCの衝撃

日々野:そんな竹鼻さんに、ガイナーレ鳥取のGMになって一番良かったこと、一番辛かったことを挙げていただきました。それがこちらのフリップです。まずは一番良かったことから観ていきましょう。
<フリップ掲出>
「経験」ということですが。

竹鼻:湘南ベルマーレ時代から、年不相応に大きな仕事をさせていただき、非常に大きな経験ができています。一番大きかったのは、JFLというリーグで4年やれたことですね。

日々野:JFLでの経験は、どういう部分が大きかったのでしょうか。

竹鼻:各チームの姿勢が異なる点です。全チームがJリーグ入りを目指してはいないし、企業チームもあります。関わっている人たちはピュアなサッカー好きばかりで、そういう空間で多くの人に知り合えたことは財産になっています。

それに、なんといってもHONDA FCというチームに出会えたことが大きいですね。アウエーで行ったときの衝撃は忘れられません。小さな街なんですが、芝生のスタジアムがあり、スクールがあって人工芝があり、週末になると近所の人たちがお手伝いでボランティアに来たり。

きっとヨーロッパの小さいクラブは、こういう立ち位置を作って地域の人たちに喜ばれているのかなと。あとは、もちろん強いんです。SAGAWA SHIGA FCとHONDA FCが強すぎて(笑)。去年、SAGAWA SHIGA FC相手にホームで勝ったときはめちゃくちゃ喜びました。あんな嬉しかったことはそうそうないです(笑)。

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GKのキックを止めようとして負傷

日々野:一方で、一番辛かったことに参ります。こちらです。
<フリップ掲出>
「負傷」ということですが。

竹鼻:以前は人手が足りなかったので、練習にも参加していました。試合前に、アップでGKがボールを蹴るんですが、そのボールを受ける役を務めました。名前は出せないのですが、シュナイダー潤之介というGKがいまして(笑)。

日々野:フルネームが出ている気がします……(笑)。

竹鼻:彼が、打点の高いキックを蹴るわけです。忘れもしない、SAGAWA SHIGA FCとのアウエー戦です。相手の選手がウォームアップしているところで、ボールが後ろにそれたら相手にケガをさせてしまうおそれがありました。「これは後逸できない」と思って手を出したら、指を2本持って行かれまして(苦笑)。

山田:強烈なキックだったんですね。

竹鼻:今でも、名前は出せませんがシュナイダー潤之介選手のせいで指がまっすぐになりませんから(笑)。人生で初めて、病院で腕を吊りましたよ!

山田:その試合は負けてしまったんですよね。いいこと無しですね(苦笑)。それにしても、負傷したGMって聞かないですね。

日々野:でも、それが一番辛いことだというぐらい、他には浮かばないということでもありますね。

竹鼻:そうですね、失敗も一つの結果ですから。次に活かせばいいわけです。大学生をターゲットにして集客につながらなかったことも、やり方を突き詰めていけば何かあるのかもしれない。だけど、売れなかったことが一つの成果でもあります。「その力を他に使ったほうがいい」とわかるだけでも。プライベートは失敗まみれですが(笑)。

山田:やはりそれだけ充実し、いろんなトライができる環境ということなんですね。

日々野:ということで、竹鼻さんにお伺いした「GMになって一番良かったこと、一番辛かったこと」でした。

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夢は「常にチャレンジし続けること」

日々野:最後に、竹鼻さんの今後の目標・夢についてお伺いします。

竹鼻:そうですね、今回の仕事でもっと長くしゃべることですね。直近の夢としては(笑)。

山田:すぐにでも実現できそうじゃないですか(笑)。

竹鼻:「巻いてくれ」という指示が出てますよ(笑)。真面目に話すと、5年後や10年後に何をやっているか、どこにいるのかもわかりません。個人的には、常にチャレンジし続けている状態が夢ですね。そのことを実感しながら生きていき、前のめりで死にたいなと。

日々野:具体的に、目標として掲げていることはありますか?

竹鼻:34歳にもなりますしそろそろお嫁さんがほしいですねえ。

日々野:なるほど。ちなみに、チームに対して約束されたことがあるそうですが?

竹鼻:チームとしては、社長のほうからも順位として「9位以内」という目標を与えられました。まだまだ達成には遠いですが、目標を掲げて一つ一つクリアしてきたのがガイナーレ鳥取です。今年はそれをクリアして、いつかJ1に行くことができれば大きいと思います。

山田:そういう目標設定は、あったほうが良いかもしれません。サンフレッチェ広島のミハイロ・ペトロヴィッチ監督も「J2は特殊なリーグだ」と仰っていました。降格がないことで、中位・下位のチームが恐れずに向かってくると。逆に、上を目指すモチベーションもそれぐらいの位置だと難しいのかもしれません。

竹鼻:9位という設定も、J2昇格初年度のチームとしては非常に厳しいものです。昇格1年目は、緊張感を持たないとその先が大変だと思いますね。

山田:「サカつく」ではシーズンごとに目標を立てるのですが、その目標と同時に解雇条件が設定されます。その条件を満たすと、クビになってしまうんです。

竹鼻:恐ろしいシステムですね(笑)。

山田:どうしてもディレクターが入れたいと(笑)。上のクラブになるほど厳しい条件になるので、いきなり小さなクラブを使ってもそうはなりませんけどね。

日々野:使っている本人がクビになるシステムなんですね。怖いですねえ。

竹鼻:聞いただけで汗が出てしまいました(笑)。

日々野:選手との関係性でも築き上げたものがあると思いますが、年上の選手との関係はどういったものですか?

竹鼻:自分は年齢が若いので、チームを統括する立場を強調してもうまくいきません。こんなキャラクターで偉そうにしても説得力がないし、選手とも年が近いですから。フランクに接していますね。

日々野:服部選手からはなんて呼ばれているんですか?

竹鼻:「快」ですね。下の名前です。

日々野:岡野選手からは?

竹鼻:「快ちゃん」と(笑)。

日々野:新しい選手との関係性なのかもしれませんね。

竹鼻:ただ、普通の会社にも年上の部下を持つ方はいるでしょうし、そこまで特別なこととは思っていません。

日々野:これからますます、「快」GMの活躍を期待しています。

山田:毎節、期待しながら見守らせていただきます。

日々野:ということで、今回のゲストはガイナーレ鳥取GMの竹鼻快さんでした。ありがとうございました!

次回は、厳しくも温かいコメントで、サッカーファンの信頼をがっちり獲得。「Jリーグアフターゲームショー」の司会・解説者であり、サッカースクール経営者の顔も持つ野々村さんに、試合観戦のコツと監督・GM業への興味について伺います。

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