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 【スカパー!サカつく部 サカつくDivision1】 第2節野々村芳和氏

『J.LEAGUETM プロサッカークラブをつくろう!7 EURO PLUS(以下、サカつく7)』の開発プロデューサー山田理一郎と、日本サッカー界を支えるスペシャルゲストと特別トーク。『サカつく7』の魅力はもちろん、開発秘話やサッカー論を本音で語る!
テレビでは放送しきれなかった内容をノーカットで掲載!第2節は、「Jリーグアフターゲームショー」の司会・解説者であり、サッカースクール経営者の顔も持つ野々村芳和さんです。

プロフィール

山田 理一郎
「J.LEAGUETM プロサッカークラブをつくろう!7 EURO PLUS」プロデューサー
1999年セガ入社。企画として「ハンドレッドソード」「パンツァードラグーンオルタ」「プロサッカークラブをつくろう!ヨーロッパチャンピオンシップ」「フットボールクライマックス」などに携わり、2009年発売の「J.LEAGUETM プロサッカークラブをつくろう!6 Pride of J」ではプロデューサー兼ディレクターを務める。
日々野 真理
スカパーのJリーグ中継ではピッチリポーター、Jリーグハイライト番組「Jリーグアフターゲームショー」ではアシスタントを務めるフリーアナウンサー。三重県出身。
野々村 芳和
1972年5月8日生まれ、静岡県清水市(現静岡市清水区)出身。サッカー解説者・司会者、株式会社クラッキ代表取締役。清水東高、慶応大を経てジェフユナイテッド市原、コンサドーレ札幌でプレー。現役引退後は解説・司会業およびコンサドーレ札幌のチームアドバイザーを務め、2009年には北海道のサッカー活性化を目的に小樽FC(道央ブロックリーグ)でもプレー。「JAGS」の厳しくも温かい目線は、多くのサッカーファンから信頼を得ている。

目次

今回は「JAGS出張版」!

日々野真理(以下、日々野):本日は、よろしくお願いいたします。

山田理一郎(以下、山田):「Jリーグアフターゲームショー」(以下JAGS)、毎週土日と録画して拝見しています。

野々村芳和(以下、野々村):ありがとうございます。片方しか出ていませんが(笑)。

山田:日々野さんも同番組には出演なさっていますが、こういう改まった形で話されたことは?

日々野:ないですねえ。こういう形式では初めてかもしれません。

山田:今日は「JAGS出張版」、といった趣ですね。

日々野:今回は、解説者・野々村芳和さんをご自身で解説していただきます。

野々村:そういう趣旨なんですね。たぶん、本当のことは言いませんよ(笑)。

日々野:改めて野々村さんの紹介をさせていただきます。現役時代は当時のジェフユナイテッド市原(現ジェフユナイテッド千葉)、コンサドーレ札幌で活躍。引退後は解説者としてだけでなく番組司会も務められていますが、もともと現役時代からこういうビジョンがあったのでしょうか?

野々村:まったく考えていなかったです。引退するときに今のようなことをイメージできていたかというと。そもそも、引退しようとも思ってなかったですし(苦笑)。チャンスをくれる人がいて、運が良かったんですね。

日々野:ご縁があったと。

野々村:若い頃はわからなかったけど、人に何かと救われて来ました。そういう人生でしたね。

日々野:現役時代は、キャプテンシーがあって皆を引っ張っていくタイプだったのでしょうか?

野々村:どうでしょうね?確かにいろいろなことを皆に言うので、指導者の方々がキャプテンに据えたのだとは思います。ただ、特に意識はしていなかったです。現役最後の頃は「キャプテンはこういうことをすればいいのだろう」と思っていましたが、20代の頃はほとんど何もわからずやっていましたね。

若い頃は自分がいいプレーできればいい、と思っているサッカー選手が多いと思いますが、僕は選手生活の晩年に「チームが勝つにはどうすればいいか」ということに何となく気がつくことができた。その後は「皆が良いパフォーマンスをするために」という方向に頭が向きました。自分が活躍しなくても、誰かが活躍すればいいと。

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「一見どうでもいいプレー」に面白さを見出してほしい

山田:スカパー視聴者向けに言うコメントのディープさは非常に絶妙だなと思っています。民放だったら、例えば松木安太郎さんのようなノリのよさ、ワンプレーを切り取ったときの解説のわかりやすさとか、そういうことが重要だと。

JAGSのほうは、もっと違う切り口が必要なのかなと思います。ストレートに勝敗を分ける部分ではない、一歩前のプレーを解説しているあたりを非常に感心しています。そういうさじ加減に関しては、試行錯誤があったんですか?

野々村:スカパーは、日本のサッカーメディアとして一歩先を行く必要があると思っています。点が入るシーンは誰が見ても面白いわけで、元選手としてはそこに到る過程で皆すごく努力をしていることを伝えたい。

一見どうでもいいプレーに面白さを見出してもらわないと、皆90分ずっと試合を観ませんし、現場に行かないと思うんですよ。一歩前のプレーに決定的なことがあったんだ、ということを伝えたいと思っていますね。

山田:例えば、ピクシー(ドラガン・ストイコビッチ)がすごいことは誰が見てもわかりますよね。だけど、イニエスタという選手のすごさはゲーム的には表現しづらい。ゲームではFWやGKを取ると価値に直結しやすいですが、リーグを戦う上で彼のような選手が非常に重要になる。何とかゲームで表現したいと思って、いろいろ考えていました。

ただ、あからさま過ぎても「中盤を強化すればいいんだ」となってしまう。そうじゃなくて、ユーザーはいろんなシステム・フォーメーションでプレイしたいので、正解がないようにしながらも「王道はこれ」としたかったですね。地味なゲームの中にも、サッカー的な文脈を盛り込もうと苦心しました。

野々村:例えば、ゲーム中でイニエスタがパスを出すとします。それを追いかけて、相手が走る。その走った相手の消耗が多くなる、そういう頻度を表現する仕組みはできますか?

山田:もちろんできます。プログラミングに不可能はありません。

日々野:言い切りましたね(笑)。

野々村:イニエスタみたいな選手は、相手の体力を奪うのが一番すごい点だと思いますね。パスを回すごとに、相手が消耗していく。そういうプログラムになればいいですね。知らぬ間に疲れていて、次のゲームに蓄積されていると。

山田:パスがうまい点一つとっても、いろんな見方がありますよね。「狙いが良い」と「正確にパスを出せる」は全然違うスキルですよね。縦にクサビを入れられる選手って、あのレベルだと非常に貴重だと思います。そういうプレーをゲームで表現できないかと思って、常に頭を悩ませているんですが、違う部分に労力を取られてしまう(苦笑)。

野々村:いいな、僕もそのグループに入りたいな(笑)。

山田:サッカーって正解がないスポーツだと捉えられているので、そのあいまいなところをどう表現するかで悩んでいますね。

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たまには負けたチームに話を聞きたい

日々野:番組の中でシーンがピックアップされると、「こういう理由で良いシーンなんだ」とすぐに説明されますね。

山田:たくさん試合がある中で、どうやって選んでおられるんですか?

野々村:夏場はさすがに19時に一斉キックオフなので難しいですが、そうでないときは幾つか試合を見て、ゲームを分けそうなシーンを選んでいます。番組が始まる数分前に決めて、「このシーンとこのシーン、あとこれをこの順番でお願い」と決めることが多いですね。スタッフさんが一番大変なんです(笑)。

番組中では初めて観たシーンで喋ることも多いです。その時は、その場で考えたことを言います。それも面白いですね。

山田:まさにライブ、生の魅力ですね。

日々野:解説業と司会業、両方合わさっているお仕事ですが違いはありますか?特に司会進行としてのご自身はどう捉えられていますか?

野々村:いやあ、ダメでしょう(笑)。よくわからないですね、長くやっているから本業っぽくなっているけど。もっと上達しないとダメだと思いますよ。ただ、サッカーをどう伝えるかという意味では両方同じかな。

例えばゲストが来たら司会者として質問しなきゃいけないですが、質問内容に関しては狙いを持って出せていると思っています。地上波とはちょっと違った部分で、サッカーを深く語れると思うので。ただ日々野さん、司会は難しいですよね?

日々野:難しいですね。いつも野々村さんに頼り切っていますから、私は。

野々村:そんなことないでしょ(笑)。

山田:質問される時も、「こういう答えを引き出したいのかな」という狙いを感じます。開幕2戦目ぐらいかな、サンフレッチェ広島の李忠成選手にダビド・ムジリ選手について質問されましたよね。「ムジリってちょっとモッサリしてない?」とか。そこから話を広げようとした瞬間に、「あの男」が来たわけですよ(笑)。

野々村:森脇良太?

山田:そうですそうです。その話をすごく聞きたかったのに、「サンフレッチェ、くぅ~!」みたいなことを言いながら。僕は大ファンなのでいいですけど(笑)。

野々村:あの頃のムジリは、誰もよくわからなかったですよね。ちょっと太めで。一緒にプレーしている選手が一番よくわかっていますから。あとは、うまく行っていない選手にその理由を聞き出したいと思っています。

今シーズンだと関口訓充(ベガルダ仙台)、乾貴士(セレッソ大阪⇒ボーフム/ドイツ)、柏木陽介(浦和レッズ)とか。それぞれ理由があって、序盤は調子を崩していた。でも彼らは、現在そこから挽回して頑張っている。不振だった当時のことをしゃべらせたら彼らも気持ちがラクになると思うし、そこからまた上達していくのかなと。

山田:負けたチームのほうを出す、というトライはあってもいいかもしれませんね。

野々村:スタッフが大変だと思いますけどね(笑)。ただ、そういうケースもあって良いと思いますよ。

日々野:海外では、そういう番組が放送されているんでしょうか?

山田:自分で観たわけではないんですが、イタリアでは主審のジャッジに関して3時間も番組が放送されたりすると聞きます。

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大前提:審判は上達している!

日々野:ジャッジに関しては、野々村さんはきっちり伝えていますね。

山田:怒られたりしないんですか?

野々村:いやあ、僕じゃない人が怒られているんじゃないですか(笑)?いろいろ言われることはあると思いますけど、思ったことを言わないとやっている意味がないので。実際それで改善されたのかな、という部分が少しはあります。だから、言ってきたことは間違いじゃなかったのかなと。

現場の人たちからは褒めてもらえるんですよ。彼らは特に言いづらいので、「よく言ってくれた」と。そういうことを聞くと、うれしいですね。

山田:審判も、試合を作る要素ですよね。

野々村:大前提として伝えておきたいですが、審判は絶対にうまくなっています。だけど、人間がやるものなのでミスもある。だから、選手のミスと同じように伝えているだけで、審判だけを取り上げているわけではありません。審判批判ばかりしている人、と捉えられたくないですね。

山田:他の人が言わなさすぎるから、という事情もあるんですかね?「これはこういう基準だからファウルではない」という指摘もちゃんと行なっていますし、すごいなと思います。

日々野:審判座談会、といったこともやりましたね。

野々村:やりましたね。目の前にすると結構褒めちゃう(笑)。だけど前提として、審判のレベルは上がっています。自分の現役時代のビデオを見返すと、全然オフサイドじゃないのに旗が上がるシーンが結構ありました。

山田:サッカーの進化に伴い、審判も上達しているってことですね。ゲームも進化しなきゃいけないんですが、審判のジャッジはたまに不可思議なんですよ。選手が勝手にハンドするゲームがあったり(苦笑)。頭に来て、コントローラーを壊した記憶があります。例えば「この審判はフィジカルコンタクトをよく取るから、気をつけなきゃいけない」とか、そういう要素を入れたいと思ってはいるんですが、なかなか難しいですね。

野々村:今は入ってないんですね。皆一律の基準で。

山田:ただ、そういう基準を入れているゲームもありますよ。

野々村:「中東の笛」とかもあったりするんですか(笑)?

山田:あっても面白いですね。ただ「サカつく」では、アウエーだとファウルの確率が変わる部分があります。ホームとアウエーでは違う要素があって、サポーターの応援が選手に力をもたらしたり。

野々村:素晴らしい。それは絶対にありますからね。雰囲気、空気で勝つことは。

山田:昔のJリーグに比べると、サッカーの場を作るカルチャーは高まってきているなと思います。

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「売り上げがあって愛される」ことの難しさ

日々野:ここまで解説と司会について伺いましたが、GM業や監督業について興味はおありですか?

野々村:興味はありますよ。最近「自分は何屋さんなんだろう」という思いがあって、今後へ向けての興味の一つには、当然入っています。

日々野:監督になるとしたら、どんなイメージですか?

野々村:まだわからないですね。ハッキリ湧いたらやってもいいと思っていますけど。サッカーだから当然勝つためにやるわけですが、それだけでいいのかという疑問も皆持っている。そのバランスを自分ならどう取るか、クラブによっても違うでしょうから「ではクラブをどうすればいいのか」とか。

日々野:つまり、GMのお仕事ということですよね。

野々村:日本サッカーはまだ始まったばかりなので、GMを据えてクラブの色を出しているようなところは少ないですよね。そういった仕事にも興味があります。ただ、自分としては、いまやっていること(解説、番組)はサッカー界全般に薄くとも何らかの影響を及ぼせていると思っているので、続けていきたい気持ちもありますし。今後なにをするのが一番いいかは、まだわかりませんね。

日々野:こんなチームを作ってみたい、という理想はありますか?

野々村:そりゃあ華麗なチームを皆作りたいと思うんですが(笑)、現実はなかなか難しい。

山田:「サカつく」では全権監督という立場で、オリジナルのクラブを立ち上げたときには「何でもする人」という立場なんですよね。チームの代表ではないけど、システムやフォーメーションを決め、サポーターへの対応やプロモーションもやる。

ただプレイの仕方によっては、いろんなスタイルのクラブを作れます。ユースの選手しか使わない、ユース縛りのチームとか。あるいは補強一本槍で、「オレはメッシを絶対に獲得する」とか。あとはサポートクラブの選手だけを鍛えあげて、世界を目指す。いろんなスタイルがあり得ます。

もし野々村さんがプレイされるなら、「こんなクラブを作りたい」というイメージはありますか?

野々村:最高に売り上げがあって、イブラヒモビッチでもメッシでも獲れるクラブがいいですね。で、それでいて地元から愛される(笑)。まあ、現実にはかなり難しいです。理想はそこですね。

山田:すべてを求めるなら、そこですね。ジダネスとパボネスみたいな。一時期のレアル・マドリードみたいに、実現しようとした例はありましたが。

野々村:現実的には、その地域で本当に応援されるクラブが良いんじゃないですかね。ゲームでも、そんなクラブはそう簡単には作れない。

山田:序盤は苦労しますね。1年頑張ったけど、コアサポーターが2人しか増えなかったって悲しいケースもありますから。

野々村:そんなことが起きるの?寂しいなあ、それは(笑)。

山田:僕はその報告を聞いて、面白かったですけどね、「ゲームとしてこれでいいのか」という(笑)。悩んだんですが、まあアリだろうと。うまくいかなきゃ、そんなものだよと。

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上級者向け「青ヶ島プレイ」とは?

野々村:ゲームでは、どうやってサポーターを増やす仕組みになっているんですか?

山田:都市ごとに観戦人口があり、都市の規模や同じライバルクラブがいるかいないかで設定された数字があります。試合が行なわれると、その試合の人気度に応じて集客が変化します。

また、来た人たちがその試合を見て、あるいはスタジアムに満足したかどうかという評価値があります。例えばロスタイムで劇的なゴールがあったり、スタジアムの施設がすごく充実していたら評価が高くなる。そういう人たちがリピーターとなってクラブを支える、そういうシステムになっています。

野々村:なるほど、そういう仕組みなんですね。

山田:この人口を使い果たすと、いろんな交通機関を設置しなきゃいけなくなったりします。タクシー乗り場、新幹線、飛行場など。

日々野:遠くから来る人のために、ですね。

山田:飛行場を作ると、海外からもお客さんが来てくれるようになります。

野々村:すごいね、壮大だ(笑)。

山田:あとは、「青ヶ島プレイ」というものがあります。東京都の青ヶ島という離島があるんですが、このクラブで世界一を目指す。人口100人しかいないので、全員来ても観客は100人。チケット収入も100×3000円ぐらいで、そこから世界一を目指せるのかというところから。そういうやりこみ方をしている人が、たくさんいるそうです。

日々野:ディープですねえ。

山田:15年やっているゲームですから、そういうファンの方がたくさんいるんですよね。

野々村:すごいな、勉強になるなあ。

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心臓をコントロールすることで、メンタルを鍛えた

日々野:野々村さんは株式会社クラッキの代表取締役という立場でサッカースクールの運営もされています。スクールを始められたきっかけは何だったのでしょう?

野々村:いろいろありますが、自分がサッカー選手で何とかなったのはメンタルがすごく大事だったと思って。小さい頃からそこを強調して育てたら、能力がちょっと足りなくても一つ上のレベルでやれる選手は増えるのではないか。あるいは、サッカー選手にならなくても大人になって役に立つことがサッカーには多いのではないかと。

日々野:野々村さんは、子供の頃に心臓が悪かったそうですね。

野々村:小学校6年生ぐらいのときに初めて発作が出たんですが、病院に行っても「心臓病じゃない、何ともない」と診断されました。でも年月を重ねるごとに、プレッシャーが掛かる試合で発作が出るようになりました。

高校サッカーの県大会決勝では、キックオフすぐに発作が出て、20分外で休んでから入ったり。全国大会でも、僕が外に出ている間に失点して負けてしまったりとか。「病気じゃない」と言われていたので、ずっと「自分は気が小さい選手だ」と思っていたんですよ。だけど、だんだん自分の心臓をコントロールできるようになっていて。緊張しないように、発作が起きたときにどう自分の気持ちをなだめるか、とか。

でも、たまたま20歳の時に検査で心臓病が見つかって。「手術すれば治りますよ」と言われたんです。すごく嬉しかったですよ、「気が小さい選手じゃなかったんだ!」と。それなりの手術だったと思うんですが怖さはなくて、本当に嬉しかった。

僕は病気をたまたま持っていたので、小さな頃から心を鍛えてきました。それが役に立ったことを実感しているので、近いことを子供たちもやってくれたら。皆病気じゃないわけだし、もっと良い方向に持っていけるんじゃないかと。

日々野:なるほど。

野々村:怒られましたよ、発作が起きている間に失点したときは。ついこの間に言われましたからね、川崎フロンターレの相馬直樹監督に。もう20年も経ったときに。

日々野:ずっとそのことを覚えていたんですね。

野々村:20年経ってから、「あの時お前が外で休んでいる間にさあ~」って(笑)。その頃は本当に申し訳ないな、と思ってました。監督も替えずに待ってくれてましたし。だから発作が起きないようにどうすればいいか、考えていましたね。

日々野:だから今、メンタルが強いんですね。

野々村:もしかしたら、そういう部分もあるのかもしれません。自分では常に緊張しながらやっていると思いますが、周囲からはそうは見えてないようです(笑)。

日々野:子供たちにメンタルのことを教えていると、変わってきている実感がありますか?

野々村:変わってきていると思いますよ。教えているのは元プロサッカー選手ばかりですが、彼らには、最初に「自分がうまくいかなかった理由」を聞くようにしています。それを理解していると、子どもたちに自分が足りなかったことを伝えられます。メンタルのことがだいたい多いんですけど、そういう循環ができればいいと思っています。

ただ単に技術的にうまい選手を育てようとは思っていないですね。サッカーは素晴らしいものなので。いい人間になってほしい、サッカーファンになってくれればいいと思っています。

山田:本当にいい話ですね。

日々野:決めのコメントが来ましたね(笑)。ということで、ここまでは野々村さんのお仕事について伺ってきました。

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「さかつく7」に出てないことが一番辛い!

日々野:さて、そんな野々村さんに解説者になって一番良かったこと、一番辛かったことを伺いました。それがこちらです。
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まずは良かったこと、「プレッシャーからの解放」ということですが。

野々村:解説者になってからというよりも、選手を引退した時からですね。選手の時のプレッシャーは全然違うので。もちろん、今をいい加減にやっているわけではないですよ。ただ、あの頃は相当大変だったな、と何となく思っているというか。

日々野:辞めてからわかることなんですね。現役のときは当たり前のように捉えていたんですね。

野々村:大変ですよ、朝から晩まで何を食べるか、どれだけ眠るか。今はいつ寝てもいいし、いつ食べてもいい。サッカー選手は良いプレーをして結果を残さないと、いろんなところでああだ、こうだと言われる。大変だな、といつも思います。

山田:現役時代は、かなりセルフコントロールにビシッと気を使っておられたのでは?

野々村:ビシッとはしていないですね……解放、とか言っときながら(笑)。思い返してみると、全然ダメだったかな(笑)。頑張っていた時期はあるんですよ、食事から睡眠から、身体に良いことを試したり何十万円もする高い浄水器を買ったり。「この水を飲めばもっとプレーが良くなるんじゃないか」とか。

だけどある時、「そういうことを言っている自分は弱いんじゃないか」と気づきまして。そこからは気にしすぎずに、グラウンドに出たとき結果を出せるかだけに集中するようになりました。もちろん、それなりに節制はしていましたけどね。

山田:続いて一番辛かったことを挙げてもらいましょう。「サカつく7に出ていない」(笑)。今回のこの瞬間が辛い、ということなんですね。

野々村:そうなんですよ!

山田:なぜだ、と(笑)。フォローさせていただきますと、前作「サカつく6」ではご登場いただいているんです。「サカつくを作ろう」という投票キャンペーンがあって、各チームのサポーターから投票していただいた結果をゲームに反映させます、というものでした。

その中で、「あなたのクラブOBで出演させたい人」を全チームでやりましょうと。当時J2に上がってきたばかりのクラブだと、なかなか僕らにはわかりませんからサポーターに意見を募ったんです。その結果、コンサドーレ札幌では野々村さんが選ばれたわけです。

野々村:まあ、前作の話ですから(笑)。僕も解説を長くやっているので、そろそろゲームの解説もいいなぁとか思っていたんですが。ちょっと声が良くないのかな?

山田:いやいや、解説者というよりは、僕はゲーム内に番組を作ってしまいたいです。ユーザーのプレイの解説をしてもらうんです、「これはねぇ」とか。

野々村:ゲームだから、普段よりちょっと辛辣にね。

山田:「これは、ちょっと判断迷っちゃったんじゃないかな?」とか、「そこ、もう一度再生できる?」とか(笑)。

日々野:さすが、番組を毎回ご覧いただいているだけありますね!

山田:個人的に、そういうことができたら面白いなと思っています。

野々村:ぜひそこは「個人的に」ではなくて、お願いしたいですね。「サカつく8」で……遅くても「サカつく9」ぐらいまでに。

日々野:幅を持たせましたね(笑)。これが出たということは、他にそんなに辛いことはなかったと?

野々村:いやあ、生きてれば辛いことはたくさんありますよ。テレビで言える範囲での辛いこと、ということですね。

日々野:いろいろありますよねえ。

野々村:大変ですよ、もう。J2に降格したぐらい、辛い感じ。これはまた次の機会に話します(笑)。

日々野:ということで野々村さんに聞いた、解説者になって一番良かったこと、一番辛かったことでした。

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JAGSを通じて、全体のパイが増えていってほしい

日々野:では最後に、野々村さんの今後の夢・目標をお聞かせください。

野々村:目標ですか、うーん。サッカー選手になったときも、何かの番組で「選手として成功した、と思って終えたい」と答えた記憶があって。具体的な目標が出てこないのが、自分の悪いところなのかもしれないですけど。

Jリーグができてまだ20年経ってなくて、まだまだヨーロッパや南米に追いついていないところが多いと思うんです。だから、自分が生きている間に世界のトップと同じレベルで、サッカーを見たり伝えられたりできるようになったらいいなと思っています。

今はスカパーさんでサッカー番組をやらせていただいていて、日本の中でもサッカーを伝えるメディアとしてかなり良いところまで来ていると思います。もっと良くしたいし、サッカー見始めた人が付いてこられるように、そのグループをより大きくしていけたらと思っています。

日々野:全体のパイが増えていってほしい、と。

野々村:そこから自分に何ができるか、また考えていかないといけないでしょう。番組はうまくやり続けていければいいな、と思います。だから、続けさせてください!(笑)。

日々野:山田さんは、今のお話伺ってどうですか?

山田:そうですね、想像していた部分が当たっていました。「この人は、こう考えてしゃべっているんだろうな」という部分が。サッカーのカルチャーとして「言わなくてもわかる」まで来ていない、その部分を補ってくれる人ですね。ますますファンになりました。サンフレッチェ広島が勝ち続ける限りJAGSは毎回観ますけれども、負けた場合は録画して……(笑)。

日々野:心を落ち着かせてから(笑)。

山田:一週間後に観ます(笑)。いや、負けた試合のハイライトって耐えられないでしょ?ましてサンフレッチェ広島に負けたチームのサポーターだと、あんなパフォーマンスを見せられたら腹が立つだろうな、と思いながら見ています(笑)。

野々村:皆が満足してもらえる番組ができればいいですね。

日々野:頑張りますので、毎週土日必ず見てくださいね。ということで、今回のゲストはサッカー解説者で、株式会社クラッキ代表取締役の野々村芳和さんに来ていただきました。ありがとうございました。

次回は攻撃サッカーとゴールパフォーマンスで、ファンのハートをがっちりつかんだサンフレッチェ広島。華麗なチームを影で支える森脇さんに、地方クラブをPRする苦労と喜びを語っていただきました。

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