——確かに日本は進歩はして来ているのでしょうが、世界に勝つのはなかなか難しい。日本が世界の強豪に勝つために、すべきことはどんなことでしょうか。
「まず、一番重要なことは世界に出て戦い続けることです。今回の南アフリカ大会で、日本はフランス大会から4大会連続で出場することになりますが、世界で戦うという経験は非常に重要です。私は、モダンフットボールを突き詰めていくことが大事だと思っています。また、強いチームのコピーではなく、いろんなことを学び、日本独自のやり方を考えてチームにアプローチしていくことが重要でしょう。
試合の結果は、選手のコンディションやパフォーマンスの出来にも因りますが、高いクオリティを持った選手がいるチームは、やはり強い。UEFAチャンピオンズリーグの決勝で2ゴールを挙げたインテルのミリートのような勝負強い選手を見付けることも必要ですね」
——もし、代表監督になったら、チームをどうマネジメントしていきますか?
「まず、選手を選ばなければなりません。当然、過去の代表とは異なるでしょう。
私が選ぶ選手の基準は、サッカーを理解して、私の考えを尊重してくれること、インテリジェンスのあること、そしてポリバレントな能力を持っていることが条件になるでしょう。たとえば、ランパード(MF・チェルシー)のような選手です。彼は、ポジションにこだわらず、前後左右どこでもプレーすることができる。そういう質の高い選手がいれば、戦術を高いレベルで実行できるし、チームに勢いがつきますからね。監督は、まずそういう選手を見付けないといけないのです(笑)。
次は、ゲームにリンクしたトレーニングをしたい。クオリティが高く、みんなが楽しめる内容のトレーニングをしつつ、こういう戦術で私が何をやりたいのかということをしっかり選手に伝えていく。こういう説明は、監督の明確なコンセプトを伝える意味で重要です。そうして、洗練された魅力あるサッカーをしていきたいですね」
——オシム監督は、志半ばでチームを去ってしまいました。オシムをよく知る監督としては、その意志を継ぎたいという想いがあるのではないでしょうか。
「(笑)。まぁ、もし、それが実現できれば、嬉しいですけどね。それは、私にとって大きな誇りになるでしょうし、大きな責任もかかってきます。ただ、そうなれば、みなさんがワクワクするような楽しいサッカーをお見せできるようにしたいですね」
——今後の夢とは?
「選手に、モダンフットボールを教えていきたいですね。いつか、私が日本を去る時、監督からこういうことを学んだなと思ってくれるように。それが私の目標ですね。そのために、私はベストを尽くすつもりです」
ドラガン・ストイコビッチ 1965年3月3日、旧ユーゴスラビア生まれ(現セルビア共和国)。 83年、ラドニツキ・ニシュでプロ生活をスタートさせ、2001年、名古屋で引退するまで、高い技術とインテリジェンスに溢れたプレーでファンを魅了した。 |